第26回淡水翁賞の受賞者が決まりました。
2010年2月16日(火)に第26回淡水翁賞選考委員会が開催されました。
淡水翁賞は若手の金工作家の方を奨励するために設けられた賞で、今年度で26回を数えます。
45歳以下という年齢制限を設けていますが、金属素材を使って表現された作品であれば、幅広く応募頂けます。今回はオブジェやクラフト、ジュエリーなど様々な分野から、17名の応募があり、それらはいずれ劣らぬ大変な力作ばかりでした。
その中から、第26回淡水翁賞に下記の3名が選出されました。
今回、選に漏れた方も、淡水翁賞は年齢制限はあるものの、何度でも応募することが出来ますので、再度、チャレンジして頂くことを願っています。
なお、授賞式は3月後半に行う予定です。

水辺の休息
h.131×w.78×d.55cm
鉄
最優秀賞
相原健作
「水辺の休息」「晴れた日」(鉄)
寸評
相原氏の作品は、鉄という重厚なイメージを持つ素材をあえて使いながら、トンボの軽やかさ儚さを、鍛金技法を使ってシンプルに造形しているが、昆虫が心地よく住める環境空間を世に提言している制作意図と、素材と技術とのバランスの取れた素晴らしい作品である。

四角いオブジェ的なうつわ
h.7-15×w.20-27×d.20-27cm
ピュウター
優秀賞
成瀬好徳
「四角いオブジェ的なうつわ」「From Alps」「天と地と」ほか(錫ほか)
寸評
成瀬氏の作品は、例えば「四角いオブジェ的なうつわ」のように、オブジェ的とあっても、決して作品が自己主張して前に出ることなく、空間や載せる物とを調和させる心地良い作品に仕上がっており、その造形感覚は大変素晴らしい。

パノラマ島のペテン師
h.580×w.480×d.460mm
銅・真鍮・ステンレス・その他
人が近づくとセンサーが反応し、ペテン師が鐘を鳴らす
写真撮影:丸子成明
優秀賞
吉田康平
「パノラマ島のペテン師」「パノラマ島の裁判官」ほか(銅、真鍮、ステンレスほか)
寸評
吉田氏の作品は、作品名からも分かるように、江戸川乱歩の「パノラマ島奇譚」にイメージを採った作品であるが、江戸時代のからくり人形を思わせる怪しげな造形に、センサーによって反応し鳴る鐘の音が更なる不安をかき立てる。確かな鍛金技術とゼンマイ、歯車などのシステムとの融合は、金工作品の新たな表現を垣間見せる。
第26回淡水翁賞選考委員
平松保城(東京藝術大学名誉教授)
宮田亮平(東京藝術大学学長)
佐藤一策(財団法人美術工藝振興佐藤基金理事長)
佐藤昭壽(財団法人美術工藝振興佐藤基金理事)